東京五輪 住民の転居先が決まらずに退去期限を迎える「ここにいたい」
2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場(東京都新宿区)の建設に伴って取り壊される都営団地「霞ケ丘アパート」は30日、都が求める退去期限を迎えた。
多くの住民は転居したが、都の説明に納得できないなどとして2世帯の住民が期限後も暮らし続ける意向を示す。
そのうち1世帯は、60代の女性が90代の母親と暮らす。転居先として在宅介護に必要なスペースがある都営住宅を希望するものの、都から提示された住宅は今より狭かったり、台所を挟んで部屋が分かれていたりした。
母親は2年前から、不安そうに「私はどこかに行かされちゃうの」「ここにいたい」と言って夜中に起きることがある。「母の状態を考えると、今までの環境に近く、同じデイサービスに通える場所がいい」と望むが、条件が折り合わない。
都は今月、この2世帯に部屋の明け渡しを求める通知書を送った。都営住宅条例が「住宅の管理上必要があると認めるとき」に明け渡しを請求できると定めていることから、応じない場合は訴訟を起こす方針を伝えた。
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